ゴミの中のディオニソス?
DNA on DNAposted with amazlet on 06.07.17DNA
No More (2004/01/01)
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ニューウェーヴだとかノー・ウェーヴだとか、そのあたりの音楽のことはよくわからないんだけれども、『No New York』に収録されているDNAとコントーションズだけは結構頻繁に聴いている。どちらのバンドもフロントマンが歌い、そして楽器を弾くのだけれど、その楽器の音が実にうるさくて、むちゃくちゃでよろしい。特にDNAはイクエモリの歩き始めのこどもみたいにヨタヨタしたドラムと、安っぽいシンセ音などが「ゴミの音楽だ!」っていう感じを演出していて、聴いていて脳が緩む。良いなー。
「アート・リンゼイのギターを中心に据えるとかなりディオニソス的なんじゃないかな…彼の衝動が…」なんてしたり顔で語ることもできると思うんだけれど、このジャンクな音楽を聴いて「良いなー」と思ってしまう、という理由とは全く関係がなさそう。っていうか、こういうものを聴いて楽しくなってしまう、という説明はかなり難しいことだ(あくまで私個人の考えとしてだけれど)。似たような例としては、「プリンスの変な裏声のシャウト」とか「アルバート・アイラーのサックス」とかも「なんでこれが良いと思ってしまうのか」というのが説明できない。音楽の「意味」を考えることはできるけれど、「意味」と「音楽が気持ち良いかどうか」との間にはものすごい距離がある気がする。
この半年ぐらいは《説明のできなさ》に挑もうとしている人たちについて考えている。