sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

アルフレート・シュニトケ作品映像集



 三夜連続で現代音楽の動画を紹介いたします。今夜はアルフレート・シュニトケの作品を集めてみました。ポスト・ショスタコーヴィチとして期待されるも、ショスタコーヴィチ自身の評価がまっとうなものに回復する前に亡くなったこの旧ソ連出身の作曲家に関しては以前にも簡単に書きました*1が、私の知らない間にずいぶんと貴重な映像があげられていたようです。まず、掲載しましたのが彼の出世作でもある《合奏協奏曲》第1番。解体したバロックを現代の語法によって再構築したザ・ポストモダニズム


 これが好評だったためにシュニトケは《合奏協奏曲》をシリーズしています。こちらは第6番。バロックというよりロック。しかし、作品は第1番よりもグッと深みをましており、第1番に聴かれるような軽佻浮薄なところがありません。鋭利なロマンティシズムにまで昇華されているように思います。

 《ピアノ・ソナタ》第1番。これはショスタコーヴィチの作品にそっくりです。それもそのはず、この作品ではアルフレート・シュニトケ(Alfred Schnittke)のイニシャルから作ったモティーフを使用しているのですが、このような(古くはバッハもおこなっていた)遊戯めいた作曲方法をショスタコーヴィチもおこなっていました。ちなみに、シュニトケのモティーフは「A D S C H」(ラ・レ・ミ♭・ド・シ)、ショスタコーヴィチ(Dmitrii Shostakovich)の場合は「D S C H」(レ・ミ♭・ド・シ)。一個しか音が違いません。

 ちなみにこちらが第2番。なんか坂本龍一が弾いてたら「カッコ良い!」って褒められそうな曲だけれども、全然知らないピアニストが大した有名でもない作曲家が書いた曲を弾いてても誰も聴いてくれないよなぁ、とか思う。こういう映像って結構貴重なんですけどね。

 《ゴーゴリ組曲》。シュニトケは暗い曲ばかり書いてるわけじゃなくて、こういう変な曲も書いている(こちらの演奏はロシアの民謡などによく使用される楽器のために編曲されたもの)。むちゃくちゃ歪められたロッシーニの《セヴィリアの理髪師》っぽい冒頭部から、ベートーヴェンの《運命》へ……というむちゃくちゃな繋ぎが面白い。その後はポルカだし、チャイコフスキーも出てくる。やりすぎなユーモア感覚が良いです。
YouTube
 最後にシュニトケのドキュメンタリ映像を*2。弟と一緒に、80年代っぽい音がするシンセで曲作りしている姿が印象的です(やたらニューウェーヴっぽい曲作ってる)。

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲
クレーメル(ギドン) ロンドン交響楽団 グリンデンコ(タチアナ) ロジェストヴェンスキー(ゲンナジー) シベリウス シュニトケ
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*1:http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20061201/p1

*2:リンク制限がされているため、リンクのみ紹介