Mário Eugênio/Contramão:ブラジリアン7弦ギター、超絶技巧によるジャンルの超越
マリオ・エウジェニオはブラジルの7弦ギター奏者で、ショーロ/クラシック出身の大変な名手だそうです(ビジュアルはちょっとブライアン・イーノに似ている)。『Contramão』は今年のはじめ頃に出ていた彼の通算4作目となるアルバム。たまたま気が向いて手に取ったのですが、なかなかの名品でした。ピンギーニャやジルベルト・ジル、そしてブラジルが生んだ大作曲家であるエイトル・ヴィラ=ロボスなどが取り上げられた彩り豊かな作品集。フィンガー・ピッキングのなかに強いタッピングやスラップが織り込まれた流麗なテクニックは、聴いていて「これは一体どういうジャンルの音楽なのであろうか」とよくわからなくなってきます。コードはたしかにブラジリア〜ンで、サウダ〜ジなしっとり感溢れたものですが、サロン風、ラウンジ風の穏やかさを超えて、文字通りアーティスティックな域へと達してしまう、とでも言いましょうか。7弦ギターの演奏を意識してきくのは初めてでしたが低い音が結構気持ちよいですね。