sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督作品『ホーリー・マウンテン』

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 『エル・トポ』に引き続き、ホドロフスキーの第二作目『ホーリー・マウンテン』が上映されていたので観に行く(会社の上司にあたる人と)。前作を観たときにはまさに度肝を抜かれた、という感じがしたのだが、今回も「ああ、人間ってこんな想像力を発揮することができるのだなあ……」という風に爆笑しながら感心した。ものすごくお金をかけた悪ふざけ、というかなんというか。冒頭から「征服者の格好をさせられたヒキガエルが、メキシコ原住民の格好をしたトカゲを征服していく」というあまりに謎な仕掛けには驚かされたし、いたるところに資本主義の醜悪さみたいなものが批判的に描かれているのだが、そうした風刺がまるで本気で言っていないようにも思われてくる。こういう映画があっても良いのか! 映画のなかで用いられているファンタジックな要素は、錬金術や薔薇十字といった西洋で伝統的に伝わる秘密結社的なもの、道教や仏教、そしてキリスト教的なものがアマルガム化しており、はなはだしい異形感を醸し出す。振り返ってみると、ストーリーなどあってないようなものであり、ただひたすら面白いアイデアを繋げただけのようにも思えるのだが、ひとつも退屈ではなかったのがカルトの名作たる所以なのか。大好きです。