sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

ジョン・フォード監督作品『リオ・グランデの砦』

リオ・グランデの砦 [DVD]
ファーストトレーディング (2006-12-14)
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 つい先日、蓮實重彦の本を読んだ*1絡みで、久しぶりにジョン・フォードの作品を観てみる。インディアンと闘う騎兵隊を題材にした作品であるが、その騎兵隊の隊長のもとに15年間会っていなかった息子が配属されてきて、お父さんは気になって気になって仕方がないよ……!という感じのホーム・コメディっぽい話が展開されており面白かった。ヒゲ面のジョン・ウェインが窓からこっそり息子を眺めているシーンがとくに良い。あと、唐突にインディアンが変な歌を歌っているシーンになるところが2回もあって面白かった。


 インディアンとの銃撃戦や、荒野を駆け抜けるたくさんの馬の姿を見ていたとき「昔の人はこういうシーンでものすごく興奮したりしたのだろうか……?」と素朴な疑問が浮かんだ。うっひょー、馬すげぇ!みたいにして。たしかに荒野をたくさんの馬が一生懸命走っているシーンというのはなかなか迫力があってすごいのだが、人間がのけぞりながら飛んできた銃弾を避けるようなシーンに慣れてしまった昨今の人間である私には、どうにもたくさんの馬はスペクタルとしての強度に欠けるような気がしてならない。今だったなら同じくたくさんの馬を撮るにしても、もっとカットをぶつ切りにしたり、インディアンの顔がアップにしたりして、カッコ良く撮っているような気がする。


 仮定を確定として話を進めてしまうと、かつて「うっひょー、馬すげぇ!」と驚いていた人々と、「馬はたしかにすごいけど、そんなでもない」という私との間では、認識に大きな違いがある。この違いについてもぞもぞ考えるのは楽しい(結論はとくにない)。