アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ『城の中のイギリス人』
城の中のイギリス人 (白水Uブックス (66))posted with amazlet at 08.10.14
フランス幻想小説の大家、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの作品は以前に『狼の太陽』を読んだ*1。「これはとても面白かったなぁ」という感覚の残り香みたいなのが残っているうちに神保町の古本屋で買っておいた『城の中のイギリス人』をやっと読む。翻訳は生田耕作でなく、澁澤龍彦。彼の翻訳には生田訳ほどギラギラとした妖しい輝きがない気がするが、とても面白く読めた。背徳感と悪夢感が強烈で、スカトロ、ペドフィリア、レイプ、拷問、獣姦……倒錯的性行為がまるでカタログのように展開されている。
僻地の海岸沿いに聳え立つ城に住む、モンキュという男を語り手が訪れるところから物語ははじまるのだが、城にたどり着いた途端に、語り手は黒人と白人の混血美女からディープスロートで歓待を受ける……なんていうのは、もはや品の良いファンタジー以下で、それ以降に続くド変態な性愛描写はページをめくるごとに過激さを増していく。それもこれも城の主人モンキュ(『臀の山』の意)がなかなか勃起しない困った男根(ただし超絶的な巨根)の持ち主で、ノーマルなセックスじゃびくともしないから……という設定が最高である。
このあたらしが喜んで食べるのは、人間の精液なのよ!ねえ、いとしいバルタザール、またあんたの精液をちょうだいね、いいこと?
モンキュの城で飼われている女性たちもこの調子(さすがに、そんなこと言われて喜ぶ人はいないよねえ……)。ほかにも、幼女が20匹の蛸が飼われている水槽のなかに放り込まれて、蛸の吸盤に吸い付かれて出血してるというすごい状況で幼女の処女を奪う……とか嫌な描写があって、本当に嫌な気持ちになる。これはもう「読む性犯罪」と言っても良い気がした*2。
*2:あと、ぼんやり上手先生(id:ayakomiyamoto)の頭のなかは、こういう妄想で一杯なんじゃないかな、と思っています