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2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

何故か第4番しばり

のだめカンタービレ #17 (17)
二ノ宮 知子
講談社
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 今回は冒頭からカール・ニールセン交響曲第4番《不滅》とちょっとマニアックな曲から。ティンパニを2セット用いてクライマックスでは2人のティンパニ奏者がドカスカ叩きまくる非常にカッコ良い曲です。このデンマークの作曲家は他にも交響曲第5番などで延々とスネアドラムがアドリブ・ソロを繰り広げるミルフォード・グレイブスもビックリな曲を書いていて大変面白い人であります。今調べて知ったけれどフィンランドのジャン・シベリウスと同じ年に生まれているそうな。千秋とマルレオケが何故このようなプログラムを組んだかは謎。予算が無いオケが大体、常時ティンパニ2セットなんて所有しているんでしょうか。

ニールセン:交響曲全集
サンフランシスコ交響楽団 ニールセン ブロムシュテット(ヘルベルト)
ユニバーサルクラシック (1996/03/01)
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 演奏はヘルベルト・ブロムシュテットサンフランシスコ交響楽団の演奏がよく出来ています(↑は交響曲全集)。たしか第3番も冒頭からパーカッションガン鳴らしのアホみたいな爆音から始まった気がするんですが、ニールセンって相当パーカッションに愛着があったんでしょうか。ただ、派手なところと地味なところの寒暖の差が非常に激しく「よくわからないなー」と思っているうちに「なんか派手なのきたー!」と盛り上がって終わるのが、なんともつかみ所がない。その辺はシベリウスも似ている気がするけれども。

 第17巻で千秋が指揮するもう一つの交響曲ベートーヴェンの第4番。何故か第4番にこだわった選曲。重くるしいアダージョから、疾走するようなアレグロ・ヴィヴァーチェへと繋がる第1楽章でなんと千秋の頭からスコアがすっぽり抜けてしまう……というアクシデントが発生するんですが、作品を聴いてみれば「そういう事故も起こりかねないな……」ということが分かるはず。

 演奏はカルロス・クライバーのもの(再掲)。千秋のイメージとは全く正反対のところにカルロス・クライバーがいるような気がするのに両方とも「父親が偉大な演奏家である」という共通点があることに経った今気がつきました。いやー、しかしほんとにクライバーは良いなぁ。何度観ても素晴らしい指揮姿。

 とか言いつつも私が個人的にオススメしたいのは、オットー・クレンペラーの重くてネットリした演奏です。千秋のような指揮者は本当にこういう演奏をしそう。

 カラヤンの映像も出てきた。笑っちゃうぐらいの先振り(オーケストラの指揮者は通常、演奏されているよりもほんの少し前に振って指示を出しておくわけです。音楽と一体となって踊っている人ではないのです)。指揮者の打点が出てからこんなに遅く音が出てる瞬間の映像は初めて観た。こういうのも素晴らしい名人芸の一つだなぁ。