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2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

大友良英/大友良英サウンドトラックス vol.1 NHK 向田邦子ドラマ「胡桃の部屋」

「胡桃の部屋」大友良英サウンドトラックスVol.1
大友良英
F.M.N.SoundFactory (2011-08-20)
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大友良英が音楽を担当しているNHKのドラマ「胡桃の部屋」のサウンドトラックが発売されています。例によってドラマのほうはちゃんとチェックできていないのですが(ちょっとだけみたら、ある日父親が失踪して別な若い女と同棲していた……という向田邦子っぽいイヤ〜な感じの家庭劇っぽかった。『阿修羅のごとく』もそんな話でしたよね)『クライマーズ・ハイ』から続く、大友良英 × NHKのコラボレーションの恒例と言いましょうか、現代日本オルタナティヴ-ジャズ界隈で存在感を放っているミュージシャンが多数参加した注目音源となっています。


主題歌のヴォーカルは「その街のこども」に引き続き、阿部芙蓉美。ウィスパー・ヴォイスの女性ミュージシャン……といえば今日において珍しくもなんともないと思われるのですが、柔らかい肌触りの奥に力強いものを感じさせる阿部芙蓉美の声はとても印象的です。たとえるならば、メゾピアノとメゾフォルテのちょうど中間を揺らいでいるような(これはカヒミ・カリィピアニッシモとして考えた場合、ですが)感じ。


メロディの存在を強く感じさせる楽曲のなかで、際立っているのは深川バロン倶楽部が演奏するガムランがフィーチャーされているトラック。ガムランでサントラ、といえばすぐさま芸能山城組 × 『AKIRA』が連想され、頭のなかで「ダッ、ダァッ、ヒィー、ハァー」が鳴り響いてしまう大友克洋脳のワタクシですが、こちらの大友も負けてはいない。ガムラン千住宗臣のスクエアなドラムが前景として、ギター・ノイズが流れる「午前0時の街」は超クール。大友のギター・ノイズの演奏に注目すれば「見えない戦い」も、静謐なアンビエンスに楔のように打たれる短いギター・ノイズがとても美しいです。