sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

Qluster/Fragen

Fragen
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Qluster
Bureau B (2011-06-07)
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クラスターといえばハンス・ヨアヒム・ローデリウスとディーター・メビウスのふたりによるドイツを電子音楽ユニット。この人たち、仲が良いのか悪いのか、2回も再結成していて昨年末にまた3度目の解散をおこなっています。その後、ローデリウスによって結成されたのがこの「Qluster」(Onnen Bockという人とのユニットです)。ローデリウスは、ここで「アコースティック楽器と電子楽器による即興演奏」という初期クラスターのコンセプトにたちかえる、というお題目が掲げているそうです。その作品の断片は彼らのSoundCloudでも聴くことがでるのですが、これがなかなかに素晴らしかったので(というか「え? ローデリウスが新譜だすの?」と聞いたら)買わずにはいられません。本来なら6月ぐらいには手に届くはずだったのですが、何の因果か到着が8月になってしまいましたけれども、やはり内容はハズれがない。


何が素晴らしいかって、初期クラスターの「なんか電子楽器でむちゃくちゃにやってみました」的な雰囲気が2011年に再現されているようなところですよ。クラスターといえば一般的にはイーノとコラボレートしたなんか和むような電子音楽を作る人たち、という認識がなされていると思われますが、初期は結構エグくて、初期タンジェリン・ドリームと似たようなサウンドなんですよね。不思議な音がピュンピュン飛び交ってる。あと結構ダラしなく楽器いじってるのをそのまま録音したみたいな……それを商品としてリリースしようと思ったのはなんか勢いとか大事だったのでは? と想像してしまうのですが、この『Fragen』はそうした電子楽器をイジってて楽しい感じが全快。さすがにノイズがボリボリ鳴ったりしないし、雰囲気は落ち着いていますが最高。どこに向けてこれが発信されているのか、誰に向けて発信されているのか見当もつかないジャンルレスなこの世界観は《電子音楽》としか呼びようがない境地でしょう。一曲だけフェネスのパクりみたいな曲があるんですが、そこはどうでもよろしい。まずは独特な音の世界に包まれるべきです。2011年の音楽とは思えない音がします。なお、このアルバムは三部作計画の一枚目とのこと。次がいつでるか分からないのですが楽しみですね。