田中清高・永尾敬子・渡辺照夫 『ワインの実践講座』
『ワインの基礎知識』*1に引き続き、その続編的な『ワインの実践講座』を読む。『基礎知識』と重複する部分もあるが、ここで紹介されている知識は大幅にヴォリューム・アップしており、薀蓄のご開陳、あるいは「どこで実践的に使うんだ?こんな話」的な知識が満載なのだけれど、そのあたりは読み物として楽しく読める。有名なシャトーの歴史や「シャトー物語」としてまとめられている。また、ブドウの栽培法の解説では「バイオダイナミック」ではルドルフ・シュタイナーの名前が登場して驚いた。まさか、ワイン栽培にも影響を与えているとは……。この栽培法自体も興味深く、なにやらマクロコスモス・レベルで生態系のサイクルを捉え、農薬や化学肥料を使用せず、代わりに錬金術みたいな有機的調合物を畑に撒いたりするスピリチュアル農法の模様。スローライフやオーガニック野菜などのロハス系思想が、ニューエイジやスピリチュアリズムとの食い合わせが非常に良いことは安易にも予想されるが、すでにあったとは、と驚く。
もちろんワインの選び方や飲むときのマナーなど普通に役立つ知識についても詳しく紹介されている。ホスト・テストやソムリエとのコミュニケーションの方法についての話を読んで「そういえばこういうマナーが全然分からずに振舞っていたな」と思った。