宮下志朗訳のラブレー新訳『第五の書』のおまけがすごそう
私がつとめる会社がはいっているビルのなかには、お菓子や文房具なんかも売っている本屋さんが一軒ある。そこで本を買うと1割引にしてくれるものだから、あらかじめ買うことが分かっている本などはそこで注文して買うようになった。そうこうしているうちに、毎月岩波文庫の新刊目録から気になるものに○をつけて渡すだけで、気になる本が注文される仕組みができあがり、今ではその本屋一番の顧客となっている。そういう付き合いがあって、本屋のおばさんが毎月『図書』(岩波が出している新刊案内+読み物の冊子、100円)と『波』(新潮社の新刊案内+読み物の冊子、100円)をサービスでくれるようになった。
『図書』の表紙は毎月、中世の本の挿絵が選ばれていて、それにラブレーの翻訳で知られる宮下志朗先生が解説をつけている。今月はラブレー関連のモノで『パンタグリュエルの滑稽な夢』というラブレーの死後に発刊された、偽ラブレー(ラブレーを名乗る者)による図版集からの一枚。現在、宮下先生は「ガルガンチュアとパンタグリュエル」の第5巻にあたる『第五の書』(これも偽ラブレー作の疑いが強い)を翻訳中だそうだが、この本のおまけに『パンタグリュエルの滑稽な夢』に収録された120点の図版をすべてのっけちゃうぞ、という予告がされていた。
怪異なイラストの作者はフランソワ・デプレ。本職は袋物職人だというが、ボスからブリューゲルへと連なる、フランドルの偉大な奇想・グロテスクと、ラブレーの破天荒の空想とを架橋してくれる。
うーむ、これは期待。宮下先生といえば、先日のブリューゲル展の図録にも文章を寄せていらっしゃった(まだ読んでないケド)。
ちなみに『波』では、阿部和重の「幼少の帝国 成熟を拒否する日本人」という連載が今月から始まっています。