sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

アレハンドロ・ホドロフスキー監督作品『エル・トポ』

ソーラーローン金利比較シュミレーションナビ
 会社の方に誘われて観にいきました。「寺山修司ジョン・レノンが絶賛した伝説的カルト映画」という煽り文句が仰々しく、諸刃の剣的に妖しく光っており、ドキドキしながら観にいったのですが、すごい映画だったので観にいって良かったです。こういう映画に出会うと、おそらく当然のようにこうした作品を観ているであろうシネフィルの方々がうらやましくなりますね(あなた方はこんな面白いモノを観てきたのか! そういうのもうちょっと優しく教えてよ! と)。畸形や動物の死体が画面に大写しにされるところには「40年前」の荒々しさや、おおらかさを感じ、圧倒されましたし、聖書を暗示するエピソードやシーンがさまざまにカットアップされ、結果としてチベット密教みたいな輪廻の話になるのがすごい! 『エル・トポ』の大部分は砂漠のなかで撮影されています。この不毛地帯を彷徨う主人公の姿が、旧約聖書のイメージと重なりますし、神のごとき主人公によって救われた世界が堕落するのは『ヨシュア記』から『士師記』の流れを想起させます。こうした映画のなかに埋め込まれたようにみえるイメージの数々はいかようにも掘り起こせましょう。だから好き勝手あれこれ解釈したら良い。ぶっちゃけたところ荒唐無稽な話だと思いますし、こうした錯覚に近い解釈が生まれなければとても観きれる映画ではないかもしれません。しかし、言うまでもなくこの「解釈」を可能とさせているのが強烈な映像に他ならず、これが地球で撮影されたものとは信じられないようなすごい風景も見ものです。砂漠のなかで、つぎつぎにウサギが大量死するシーンなど、私が目指したい美しすぎる悪夢的情景だったかもしれません。なお、学生時代にこの作品を観て度肝を抜かれた、という会社の方によれば「今回のデジタル・リマスターで、別の映画みたいに見えるぐらいキレイな色になっている」とのことでした。

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