sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

キリンジ/BUOYANCY

くるりの新譜と同時期にキリンジの新譜も出ているわけですが、同じメガネとメガネじゃない人のバンド、とはいえ、くるりキリンジのあいだに何らかの関連性があるわけではなく、くるりは思い入れいっぱいに聴けるのに対して、キリンジに対してはまったく思い入れなどなく、すごくフラットな気持ちで聴けてしまう。だが、こうした職人的な音楽は、そういうした気持ちで聴くのに適しているようにも思われる……などといったら、往年のキリンジ・ファンの方には怒られてしまうでしょうか。いやはや、おそろしく手堅い、っつー印象のアルバムで、前作『7』で省みられたようなAOR感はすっかりナリをひそめ、言うなれば鬱っぽい感じさえある、クールなアルバムとなっています。帯には「キリンジ史上最高傑作」という煽りがありますが「それはどうかな……」と思わされる一方で、ガチガチに構築された世界観が一挙に目の前に提示される感じはやはりすごい。相変わらず何を言っているのかわからない、何かを言っていそうで、何も言っていなさそうな歌詞は健在。