sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

石坂団十郎ベートーヴェン2 @フィリアホール

演奏曲目
チェロ・ソナタ第1番ヘ長調Op.5 -1
チェロ・ソナタ第5番ニ長調Op.102-1
モーツァルトの歌劇「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲 変ホ長調WoO46
チェロ・ソナタ第3番イ長調Op.69

 石坂団十郎のリサイタルを聴きに行きました。今回の来日では各地でベートーヴェンのチェロ・ソナタを全曲演奏していますが、聴きに行ったのはそのうちフィリアホールでの2日目の演奏会です。初めて彼の名前を知ったとき「歌舞伎の人だろうか」と思いましたが、日本人とドイツ人のハーフなんですね。「もう一度この人の演奏を聴きたいな」と思わせる素敵な演奏会でした。表現の幅がとても広く、品があり、これからどういう風に演奏が変化していくのか、というのも非常に楽しみです。石坂は1979年生まれ。今年31歳、ということでクラシックの世界では「若手演奏家」と呼ばれる年代です。しかしながら、石坂の演奏は若い演奏家にありがちと見なされるロマン過多に情熱的な演奏ではありません。非常に落ち着いた余裕さえ見られるような彼の表現が今後どういう風に深まっていくのかに期待して良いでしょう。CDはまだ1枚しかリリースしていませんが、次の録音を心待ちにしたくなります。

 ピアノはマルクス・シルマー。この人のピアノもとてもよかったです。見た目がゴツい系だったので、ゴツゴツとしたパワフルな演奏をしそうだ、と思っていたのですが、顔のイメージとはまったく違った繊細で動きが生き生きとしたピアノを聴かせてくれました。舞台衣装が長ランみたいだったので「外人番長」みたいになっていたのでクスッと笑いたくなりましたが。