Mahavishnu Orchestra/Visions of the Emerald Beyond
Visions of the Emerald Beyondposted with amazlet at 09.11.25
Dirk_Digglerさんにいただいたジャズ/フュージョンの音源を淡々と紹介していくよシリーズ。本日はマハヴィシュヌ・オーケストラ、1975年の大名盤『Visions of the Emerald Beyond』。これはもうすごかった。ジョン・マクラフリンってこんなに上手かったのー……と尻の毛まで抜かれそうな気持ちになったし、これまで結構、イギリスのテクニカルなジャズ・ロックを聴いてきたつもりではあったけれど、もうそんなの比べ物にならなくて、本業ジャズの人が本気を出すととんでもないプレイヤビリティを発揮するのだなぁ……と思いました(マクラフリンはイギリス出身のミュージシャンではございますが)。ギターと対峙するジャン=リュック・ポンティのヴァイオリンも異様に熱くて、とにかく音がぎっしりと詰まった変拍子ジャズ曼荼羅。
いまではイナたい感じがするオリエンタリズムと異教感が満載なんですが、それもジョン・コルトレーンから続くジャズ界の伝統なのか……と思えばまた良し。これと同時期にコルトレーンの死によって天啓を受けた男、クリスチャン・ヴァンデによるマグマがフランスに存在していたことを考えると非常に興味深いものがあります。マハヴィシュヌ・オーケストラのサウンドと、マグマのサウンドには驚くほどよく似た部分がある。どちらのバンドもリーダーは、物心ついた時には既にバップの全盛期、青年に達する頃にはロックが生まれており、一流ミュージシャンの仲間入りする時期にはほとんどジャズは下火になっていた……という境遇を持つ、ジャズが生まれた国ではない土地に生まれたジャズ・ミュージシャンなのですから、彼らが似たように「異教」を志向したのは当然のことだったかもしれません……とインチキな分析を試みたくもなります。