sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

ロード・ダンセイニ『夢見る人の物語』

 二ヶ月半ぐらい小説を読んでませんでした。久しぶりに読んだのは、ダンセイニの短編集でこれはとても面白かったです。表紙がなんかプログレみたい。この『夢見る人の物語』は、同じく河出から出ている『世界の涯の物語』*1と同様に初期の短編集二本を収録しているのですが、『世界の……』よりも一層、文章の幻惑感が高い気がしました。とくに短編集『ウェレランの剣』に収録された表題作「ウェレランの剣」と、「サクノスを除いては破るあたわざる堅砦」という英雄譚が素晴らしかったです。どちらも剣と魔法が登場するような典型的ファンタジーなのですが、そこでは夢が現実と魔法の世界をつなぐ橋として描かれている。この点がとても面白かったです。あと、ダンセイニの前に「あんた、前に小説で○○って書いてたけど、ホントは違うんだぜ」とダンセイニの創作にケチをつける大麻中毒の男が出てくる話とかも良かった。