sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

JIM O'ROURKE/The Visitor

The Visitor
The Visitor
posted with amazlet at 09.09.23
Jim O'Rourke
Drag City (2009-09-08)
売り上げランキング: 667

 ジム・オルークの新譜を聴きました。これはなかなかすごいですよ……。聴く前に彼への最近のインタビュー記事*1に目を通したのですが、この『The Visitor』という作品は約三年の期間で、完全に自分ひとりで録音したものだそうです。なんというDIY精神! そういえば、谷啓も同じように一人多重録音でビッグバンドのレコードを出していた気がしますが、こういうのって結構やりたがる人がいるんでしょうか……?(かく言う私も、一人多重録音でオーケストラ作品を作りたい、っていう一生かなうはずがない夢を抱く者でありますが)


 制作方法だけでなく、内容の方ももちろん素晴らしいのでありました。収録されているのは、一曲四〇分弱というプログレみたいな感じなのですが、静謐な冒頭からシンシンと降り積もる雪のようにゆっくりと盛り上がっていく構成や、ポリリズムの揺らぎが美しい白昼夢でも見るかのような具合なのでした。大変緻密な音楽にも関わらず、とてもリラックスした雰囲気が感じられるのも良いです。また、ここでのジム・オルークのギター・プレイは、ジョン・フェイヒーを思い起こさせるところがありますね。


 CDのジャケットには「スピーカーで聴いてください、爆音で(please listen on speakers, loud)」との文言が付記されておりますが、小さい音量で聴いても良い感じです。ヨ・ラ・テンゴの新譜でも思いましたが、こういう隣の部屋に住んでいる人が、趣味で作ったかのような親密な肌触りの音楽って最近は好きです。