ギュスターヴ・フローベール『紋切型辞典』
フローベールの『紋切型辞典』を読み終えました。これは現在、ユルゲン・ハーバーマスの『公共性の構造転換』を精読しているところですが、それとちょっと関連しているかもしれない本でした。
ここに編まれたおよそ1000の項目は,衣服,飲食物や動植物に関するもの,礼儀作法の規範,身体と病気についての俗説,芸術家,歴史的人物の逸話と彼らの評価など,多岐にわたる.フローベール(1821−80)はその記述に様々な手法を駆使して,当時流布していた偏見や言葉の惰性,硬直した紋切型の表現を揶揄し,諷刺してみせた.
以上は岩波書店のサイトから引用してきた解説ですが、この資料の重要性をハーバーマス的な用語で換言するならば、一九世紀の「市民的公共圏」で流通していた言葉が当初のなかに反映されている、という点において重要であるように思われます。とは言っても、私はそういう文化史の専門家ではないため、結局面白かった点といえば、フローベールの辛辣な皮肉や風刺なのですが。