sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

よしながふみ『愛すべき娘たち』

 id:encyclopectorさんからのレコメンドで読む。これもとても面白い漫画でした。読みながら「この作家は、ホントに観察眼に優れた人だなぁ……」と感嘆しきり。なんとなくですが向田邦子を思い出してしまいます。食卓と家庭の強固に結びついている感じがあって、そのあたりに(最近観た映画では『サマーウォーズ』もそんな感じでしたが)。「一緒にご飯を食べる」、ただそれだけのことにも関わらず、そこには「家庭」という特別な親密さが現れてしまう。この漫画ではとくに食べ物に対してのマニアックな知識が披露されているわけではありませんが『西洋骨董菓子店』における細部にこだわった演出は、そういった「食が即ち親密さに繋がっていくこと」への意識の現われなのかもしれない、とも思います。その意図はもちろん『美味しんぼ』とはまったく異なるものとして機能する。