ヘルムート・ラッヘンマン オーケストラ作品展「協奏二題」@東京オペラシティ コンサートホール
- 曲目
《アカント》オーケストラを伴う独奏クラリネットのための音楽
《ハルモニカ》独奏テューバを伴う大オーケストラのための音楽
- 演奏
二日連続で生で音楽を聴くことなったけれども、本日は趣向をガラリと変えてヘルムート・ラッヘンマンの音楽を。演奏されたのはどちらも日本初演で、おそらく再演にはしばらく時間がかかりそうだったから行くしかない!と思って会社を午前で早退して聴いてきた(本当は一昨日の室内楽プログラムも聴きたかった!)。その結果は、素晴らしかった。やはりラッヘンマンの音楽はとてもユニークで、音の素材が限りなくノイズに近いものであってもすごくユーモラスなものとして耳に入ってくる。そして、それを私は音楽というよりもある種の謎かけのようにして受け取ることになる。その謎かけは常にショッキングなものであったし、大いに耳を楽しませてくれる。そういうわけでますますこの作曲家に興味が湧いた。
今回選ばれた二作品は、《アカント》が持続音がほとんど使用されないミニマリスムの極北みたいな作品で、《ハルモニカ》はもっとダイナミックに音のうねりがある作品。両作品にパッと聴いた感じで共通しているのは「オーケストラを使用しているのに、『マトモな音』はほとんど演奏させない」という特殊奏法のオンパレードによって構成された、大変エレガントな作品であることぐらいなのだが、この対比も良かった。
各楽器奏者の特殊奏法の視覚的効果も面白い。マウスピースを外したクラリネットを鼓のように叩いたり、鉛筆(?)でテューバの管体を叩いたり、と奏者としてはあんまりやりたくなさそうなものがあったけれど、次に何が起こるのか目が離せず。木琴を弓で弾く音がすごく好きなので生で聴けて感動した。
あとロビーに展示されていた《ハルモニカ》のスコアも自由に読めたことも収穫。こういった現代作品というのは大抵ものすごく難しく書いてあるのかと思ったら、すごくカッチリと書いてあって読みやすいので驚いた(読んだ部分が、休符の多い部分だったせいもあるけれど)。演奏前のラッヘンマン自身によるプレ・トークも充実していて(ちなみに伸長190センチぐらいありそうな長身)、とても良い演奏会だった。
今回の演奏会は、東京オペラシティ主催の同時代音楽フェスティバル「コンポージアム 2009」の一環。最終日である31日は、ラッヘンマンが審査委員を務めた武満徹作品賞の本選演奏会があるので、時間があれば行ってみようかと思う。来年はトリスタン・ミュライユの特集はトリスタン・ミュライユだそう。2012年まで予定が決まっているみたいだが、12年の細川俊夫が待ち遠しい!