sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

Step Across The Border!


 70年代より活躍するギタリスト/即興演奏家、フレッド・フリスを追ったドキュメンタリ作品『Step Across The Border』(製作はドイツの映像作家、シネノマド)のオープニングから9分間までの映像がYoutubeにアップされていました。最初に使用されているのは、スケルトンクルー名義で発表したアルバムに収録されている「Zach's Flag」。2年ほど前に映画館でこの映像を観たとき、ジリジリと感じた感動が蘇ってきました。カッコ良すぎるだろー、これ。

 こちらはフレッド・フリスによるワークショップの模様。彼がこれまでに模索してきたさまざまなギター奏法が紹介されています。ここまで手の内を明かしてしまって良いものなのか、と言いたくなるほどの興味深さ。彼の即興演奏を聴いていると「むちゃくちゃ構成力あるなぁ……」と思うのですが、そういう音楽の作り方はこういう模索のなかから築き上げられてきたものなのかもなぁ、とか思います。こういうアイデアと実験が音楽のパーツになって、生の空間で瞬間的に組み合わせられていく、というのか。
Fred Frith / sound. at REDCAT pt. 1/2 - YouTube
 彼の2007年のソロ・ライヴ(2007年。映像が埋め込み禁止に設定されているため、リンクのみ紹介いたします)。冒頭からフリスが右手に持って使用している機械は、ワークショップの映像でも紹介されていたもの。磁場を発生させて、直接弦を振動させるらしい。これ、生で見たらたぶんおしっこ漏らすと思う。
Fred Frith, Ikue Mori, Zeena Parkins / sound. at REDCAT 1/4 - YouTube
 さらにジーナ・パーキンス、イクエ・モリとの即興(これも2007年のもの。同じく埋め込み禁止に設定されているため、リンクのみ紹介いたします)。これ、かなり素晴らしいと思います。とくにフレッド・フリスがギターの弦をリボンでネックにまいてしまって、ほとんどミュート状態にしてからの静かな状態はむちゃくちゃ聴かせる。以上の二つのライヴ映像は続きがあるので、気になる方は探ってみてください。
 とても散漫にフレッド・フリスの関連動画を見てみたけれど、いわゆるレコメン系アーティストにおいて、彼はやはり別格だなぁ、と思います。どんなジャンルでも似たような現象があると思いますが、ひとつのジャンルを掘り下げていくと「どれも同じに聴こえる」とは言わないまでも、たとえ新譜が出たときでも聴く前から大体音が想像できる、そしてその想像は大抵の場合外れることがない、っていうのがあります。とくにレコメン系の場合、その現象が強く出る気がする(それを最近感じたのは、エトロン・フー・ルルーブランのベーシストが出したアルバムでした。これは岸野雄一プロデュースで、ジャケットがなぜか西島大介)。でも、フレッド・フリスは簡単に予測させない幅の広さとか力量を持ってる――そんな風に思いました。

Learn to Talk/The Country of Blinds
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