宮下誠『「クラシック」の終焉?――未完の20世紀音楽ガイドブック』
- 作者: 宮下誠
- 出版社/メーカー: 法律文化社
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 単行本
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わけられた4つの章は大きく「(前作である)『20世紀音楽』へのブロガーたちの反応」を載せている部分と、「『20世紀音楽』を補うような辞典」部分の2つにわけられる。で、個人的に面白いのは前者の部分。辞典部分については「かなり詳しい」としか言えない。そもそも辞典の良し悪しってなんだろうか、と思う。既に知っていることだったら載っていなくても不便ではないのに「あの事柄が載っていない!」と文句をつけるのはどういう意味があるのか、と。載っていたら載っていたで「この記述は間違ってる!」とか文句をつけられるわけで、もしかしたら「辞典編纂者」っていうのは褒められることのない職業なのかもしれない(苦労が報われない……)。
話を元に戻す。「ブロガーたちの反応」が掲載されている部分にはクラシック・ファン、というか所謂「クラヲタ」のメンタリティがいかに粘着質か、というのが表れている(私も例に漏れず)。「あの作曲家の扱いが酷い」、「あの作曲家の名前がない」とブーブー文句を言う人が多く「だったら自分で自分なりの『20世紀音楽ガイド』を作れば良いじゃないか!」とか思う。
「クラシック」というと高尚な感じがするけれど、それをハードコアに愛好する人たちは(バカにされがちな)アニヲタとなんら変わらない。「富野の最高傑作はガンダムじゃなくてイデオンだろ!」とか「なんでバイファムはスパロボに出ないんだ!」とか言っているのと同じ(クラヲタだと『ショスタコ*2の最高傑作は(交響曲第)5番じゃなくて10番だろ!』とか言うようになる)。むしろ、経済効果とか大したことないからアニヲタよりもヒドい悪いかもしれない。
ワスも自分のことを粘着質だって自認してたケド、もっとすごい人がたくさんいると思ったっす――とか言えば言うほど「自分は他のクラヲタとは違う」と示すかのような無限の差異化ゲームへと陥ってしまうよね……。