AGURA BOYZ JUSCO「サマーデイズ」
適当に取ったギターを逆回転してみたら、全く意図しない形で良いノイズになったので、適当に考えたベースのフレーズに載せてみた不穏なトラックに、あざけり先生のポエトリーリーディングが加わってShing02ばりの不思議な音楽ができあがりました。「適当な言葉が浮かばなかったので、中原中也から借りました。詩を読むのって、相当に危険な行為だと思う。恥ずかしさに打ち勝った強さとやっつけぶりだけは自信があります(あざけり先生)」。
夏の日の歌/中原中也
青い空は動かない、
雲片(くもぎれ)一つあるでない。
夏の真昼に静かさには
タールの光も清くなる。
夏の空には何かがある、
いぢらしく思はせる何かがある、
焦(こ)げ図太い向日葵(ひまわり)が
田舎(いなか)の駅に咲いてゐる。
上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
山の近くを走る時。
山の近くを走りながら、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
夏の真昼の暑い時。
知り合いの作曲科学生が、作曲行為についてこんな風に話していた――「紙の上だけで書けるようになるにはアルゴリズムやルールが必要になってきますが、やはり頭の中で、紙に書いた音が鳴らないことには、無責任な音の羅列に成り兼ねません」。我々が行っている音楽作りは、このような態度とは全く正反対で、全く責任感を背負っていないもの。だから、それは作曲行為と呼ぶことができない。ただ、自分のなかから意図しないものをどんどん生産していく過程が面白いので、これを正当化し、これからも続けていこうかな、と思います。