ジョン・ヒューストン『黄金』
メキシコで乞食同然の生活をしている男が「金で一財産築くべ!」と一念発起、2人の仲間と旅に出る。無事金脈を当てるも男の「不信」が原因で、事態は最悪の展開に……。「人間は欲望の塊である」、「信頼が大事」、「土民に優しくしておくと良い目が見られる」など数々の教訓が得られる名画でした。
主人公の男はハンフリー・ボガートが演じていて、私は「探偵」をやってる彼しか見たことなかったのだけれど、ダーティな役も良いなぁ、と溜息。何をやってもハンフリー・ボガートはハンフリー・ボガートな感じはするんですが、早口でまくし立てるシーンなどはとてもカッコ良い。最後、ものすごく歯が汚い悪党オブ悪党なメキシコ人に、まるで家畜のようにあっさりとブッ殺されるんだけど(しかもナタで惨殺!)。
ストーリーの終盤、金探しをする3人組からリーダー的な役割をしていた「金探しのベテラン老人」が離れてからどんどん話がサスペンスの方向に転がり込んでいくのだけれども、このあたりの「調停者」的な役割をする人物がいなくなってすぐに「問題」が発生するところが「アメリカっぽいのかなー」と思います。このあたりの年代のアメリカ映画には、(ストーリー上重要じゃない人物でも)「問題」を収めるような調停者的なキャラクターが多く描かれているような気がしていて、そのあたりの感じが以前から気になっていました。例えば『真昼の決闘』のなかでも、教会の中で町人が泥沼化してる議論を繰り広げるシーンがあるのですが、そこも神父さん(町長だったかもしれない)が意見を言った瞬間に、それまでの議論が全く無意味であるかのように問題が解決してしまう、という不思議なところがある。
このDVD、近所の本屋さんで500円で買ったんだけど、中盤あたりから字幕がセリフとズレます。初めて低価格DVDを買ってみましたが、こういうことってありがちなんでしょうか。「500円だもんなー、仕方ないなー」とか言いつつも、やっぱり気になる。