sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

パビリオン山椒魚

http://www.pavillion.jp/

 オダギリジョー主演の映画。「伝説の動物国宝、キンジロー(オオサンショウウオ、150歳)はホンモノなのか調査してくれ」と依頼を受けた天才レントゲン技師が「サラマンドル・キンジロー財団」の謎を追う…!?とあらすじを書いてみようとしましたが、これは嘘です。全然こんな映画じゃなくて「オダギリジョー主演映画」という宣伝も大嘘なすごい映画でした。「ピンチョンっぽいなぁ…この荒唐無稽感……」と思っていたら、監督の冨永昌敬はピンチョンの大ファンなのだそう。あからさまなのですが、ここまで派手にやられると楽しすぎますね。

 とにかくすごいスピード感、というかツギハギ感が冒頭30分ぐらい感じました。これはかなり異常。観客の前に提示される映像は、映像の裏側に隠蔽された大きな物語から輩出される断片みたいなもののような感じがしてうまく馴染めなかったのですが、慣れてしまうと気持ち良い。サスペンス、メロドラマ、コメディ……無いのは爆発と格闘ぐらい…という詰め込み様で、中断と急展開の連続が面白すぎます。カメラワーク・編集も異常。長まわしとか、フォーカスの移動の連続とか、あんまり見たことない感じ。途中で1分近く画面が真っ暗になる箇所(その部分は音声のみ)があり、それが映画の前半と後半を分ける象徴的な切れ目になっているわかりやすさも良いです。

 観終わってしばらくして「ああ、これはよく出来た『問題作』だなぁ」と思いました。そもそもオダギリジョー香椎由宇という旬な二枚看板でこんな無茶苦茶な映画が製作できたことが奇跡に近い。他のキャストも豪華だし。ただ、この「よく出来た」という感じは悪い意味でももちろんあって、それはなんか映画っていう大きな資本が絡んだもの故の限界も感じます。オダギリジョーも上手いんだけど(後半のインチキ臭い感じが最高。あえてダイコンな演技をしてる感じ)、もっと突き抜けるような過剰さがあったら良いのに……とか思った。オダギリジョーじゃなくて脇役の高田純二が主人公だとかさ。誰が観るかわかんないけど。私は面白かったけど、人にはオススメできる映画じゃないですね。

 あと「この映画、監督自身がノベライズしたら三島由紀夫賞取っちゃうかもなぁ……」と思ってたら、既に小説版が出ていた。ちょっと読んでみたい。