sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

夢見たアメリカの音

 ブルース・スプリングスティーンの新譜。ピート・シーガーに関係する曲を集めた“ボス”初のカバー集だそう。初めて聴いたときから「うおー、すげーアメリカっぽい!」と思ったけれど、よく聴いてみるとアメリカのイメージを掻きたてるようなカントリーっぽいアレンジだけではなく、ケルトっぽいアレンジがあったり、ロマっぽいフィドルが入ってたりして多彩。その多彩さが「結局、移民の集合の国でしょ?」というアメリカの文化的状況のリアリティを伝えているような気がする。まぁ「カントリー的な音楽=アメリカ」っていうイメージも大体において間違っているのであって(スコットランドあたりのトラッド・フォークとカントリーは驚くほど似ている)、このあたりは音楽産業という巨大資本によるイメージの植え付けと関係してくるのかもしれない。


 とにかくこのアルバムは本当に内容が良い。ある時期のディランが目指したけれど挫折してしまったものをブルース・スプリングスティーンが受け継いで成功してしまった…という感じがする。