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2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

ルネサンス期ドイツのダンス・ミュージックを聞く

Renaissance Dance Music
Renaissance Dance Music
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Neumeyer Ulsamer Collegium Terpsichore
Eloquence (2008-08-26)
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図書館で借りてきた古楽について感想を書いていくシリーズ、本日はコレギウム・テレプシコレーという団体が演奏するルネサンス期ドイツのダンス・ミュージックについて。http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20110319/p1でも15世紀・16世紀のドイツの音楽について紹介しましたが、このディスクにはミヒャエル・プレトリウス(1571-1621)、エラスムス・ヴィトマン(1572-1634)、ヨハン・シャイン(1586-1630)らの作品が収められいます。ダンス・ミュージックと言えば教会音楽とは違った世俗の音楽であります。こうしたジャンルの音楽が人を朗らかにさせる作用とは、今日においても有効でありましょう。ポップ・ミュージックであり、イージー・リスニング的であり、モンド的でもある、という風に興味深い様相を示しています。



(Praetorius: Terpsichore - 1. Entrée-Courante)



(Widmann (E): Musikalischer Tugendspiegel - Clara)


Youtubeにアップされているこのディスクからの音源をいくつか上にあげてみました(Collegium Terpsichoreで検索をかければ他にもいくつか候補があがります)。こうした音楽の雰囲気を、ロマン派の音楽と比べると、これは実に穏かな音楽だな、という風に思います。たしかに19世紀の音楽は、ルネサンス期の音楽と比べたらそのどれもが疾風怒濤の音楽となってしまうでしょう。この穏かさが無印良品の向おうとする方向にマッチしているから、無印良品で流れている音楽は古楽ケルト音楽ばっかりなんでしょうか? ルネサンスは「ほっこり」なのか? 栗コーダーカルテットがこの時期の作曲家をとりあげていたと思いますし「栗コーダー=ほっこり系」という認識はあると思うので、もしかしたらそうなのかもしれない。しかし、ドイツに先行してルネサンスの波に飲み込まれたフランスでは、フランソワ・ラブレーが、ウンコやオシッコの話が満載の小説を書きまくっていたわけで、「ルネサンス」という言葉の射程範囲の広さを感じてしまいますね。かたや「ほっこり」で、かたや「ウンコぶりぶり!」という。それが人間の解放だったのか……! と考えると、素敵な時代だなあ、と思います。