sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

カヒミ・カリィ/It's Here

 新譜。大友良英山本精一ジム・オルークという三大ギタリスト(?)が参加していたので気になって、気になって。ミックスがジム・オルークだからなのか、ウィルコっぽい音に聴こえるところもあり(リヴァーブの感じかな)つつ、しかしソリッドな音楽に仕上がっている。なんか最初に聴いたときはカエターノ・ヴェローゾの近作の世界観に近いのかもしれない……と思ったほどで、なんかエラい渋いアルバムなのであった。これはなんかひょっとしたらスゴいのかもしれない。例によって、歌詞はすべてフランス語であるため何のことをおっしゃっているのか俺にはさっぱりわからないのだが、バーン! と「これがカヒミ・カリィの最新形態じゃあ!」と音だけで世界観を打ち出している。モノクロのなかに一部原色系のモザイクがあるジャケット写真はすごくアルバムの内容とマッチしているように思われ、もっと情景的な比喩をするならば、現実感がありすぎて逆にこれは夢なんじゃないか、って疑いたくなる現実、あるいは夢……って感じである。なんかこの沈潜の仕方は、すごいな……。不思議ちゃんが一周して、禅マスターになったかのようなそういう深さを感じるのだった。