2008年に買った新譜を振り返る
この前「あと2008年も1ヶ月か……」と思っていたら、気がつくともう12月も半ばに差し掛かるところである、と月並みな前口上はほどほどに、今年購入した新譜を振り返ってみたい。今年は自分にしてはこれまでにないぐらいに新譜をよく購入して聴いていた気がする。その代わり旧譜だとか名盤だとかにあまり食指が動かなくなったわけだけれども。
Death Magneticposted with amazlet at 08.12.11
なんと言っても今年の個人的ベスト・アルバムはメタリカの『デス・マグネティック』。お金の使い方を微妙に間違っている気がしないでもない異常なハイファイで聴く高音圧のヘヴィロックは最高。会社員2年目の今年はなかなか仕事が辛かったこともあり、そういうときは必ずこのアルバムを聴きました。「オラ、オラ、殺すぞ、このクソババァ」と同じビルに向かうオバサン連中に呪詛の言葉をキワキワのテンションで念じ、帰りには泣きながらザ・スミスを聴いて帰るのが今年の私だったよ……。
バッハ:フーガの技法posted with amazlet at 08.12.11エマール(ピエール=ロラン)
ユニバーサル ミュージック クラシック (2008-01-23)
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クラシックだとピエール=ロラン・エマールによる《フーガの技法》が素晴らしかった。これは来日公演も観に行ったけれど*1、圧巻でした。エマールは今年もう1枚アルバムをリリースしていて(『メシアンへのオマージュ』)、そちらもとても良い演奏。この人の演奏は、理性が突き抜けて狂気のレベルまで達したような、恐ろしい明晰さがある気がする。
シベリウス&シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲posted with amazlet at 08.12.11ハーン(ヒラリー)
ユニバーサル ミュージック クラシック (2008-03-05)
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あと、ヒラリー・ハーンのシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲も良かった(彼女の演奏も来日公演で聴いた。これも最高。曲はシベリウスだったけど*2)。このアルバムはグラミー賞にもノミネートされたそうで、こういったガチガチの20世紀音楽が有名な賞の候補にあがるのは結構珍しい気がする。この作曲家が亡くなって50年以上経過して今、やっと「クラシック」的な評価を受けるようになったのかな、なんて思う。新ウィーン楽派絡みだと、最近買ったピエール・ブーレーズ/内田光子/クリスティアン・テツラフの『Mozart/Berg 13』というアルバムに収録されたベルクの《ピアノ、ヴァイオリンと13の管楽器のための室内協奏曲》の演奏も素晴らしかったです。無調ってロマンティックよね……。
ビッグ・ブルー・ボールposted with amazlet at 08.12.11
Seeing Soundsposted with amazlet at 08.12.11
ポップスに戻るとこの3枚もよく聴いた。上から、ピーター・ガブリエル、ブラック・クロウズ、そしてN.E.R.D。まったく音楽性が違う3枚だけど、どれも「1枚のアルバム」としてのまとまりがすごく強くて、すごく集中して聴けた。なかでもブラック・クロウズ。彼らは、このアルバムを遺作にしても良いぐらい素晴らしい出来。
Gildas & Masaya
Kitsune (2008-07-22)
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あと今年はどこのセレクト・ショップに行ってもエレクトロファンクだのフレンチエレクトロだの言われている音楽が流れていたような気がした(でも、今年1年マジでユニクロでしか服を買っていない)。それらの多くについてアーティスト名など知らないが、Gildas & MasayaがAnd Aで流れているのを聴いた日には、もうなんか「オシャレ=エレクトロ」みたいなのを象徴的に感じたね。ユナイテッド・アローズとかでペンデュラム『In Silico』が流れていたらそれはそれでどうかと思うけれども……。
- 追記
ZAZEN BOYS4posted with amazlet at 08.12.13
ザゼンの新譜を忘れてた。何者にも形容しがたい音楽へ行き着いた感があってこの新譜は良かったです。