sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

諸星大二郎の小品

 諸星大二郎の作品が漫画文庫化され続けているようである。3年ほど前からちょくちょく諸星作品を買い集めていたので、文庫化の機会に既に持っていたものを間違って買ってしまうそうで怖い。まだ完結していない『諸怪志異』シリーズも文庫になってしまうようだし、気をつけなければ、と思う。

 『ぼくとフリオと校庭で』は10本の短編を収録したもの。諸星大二郎といえば、膨大な資料と捏造した資料を織り交ぜ、さらに奇想天外な歴史解釈を行うことで独自の幻想的/悪夢的な世界観を構築してしまう「大作漫画家」のイメージが強いのだけれど、『ぼくとフリオと校庭で』に納められた小品にはその不気味さがコンパクトにまとまっているところが魅力的。カフカ柳田国男へのオマージュもある。

 この短編集ではじめて諸星大二郎の「ギャグ」を読んだ気がするのだけれど、それがものすごく寒くて良かった。明らかに向いていない……。