sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

頼まれてもないのに2006年新譜総括

 気がつけば、モーツァルト・イヤーかつショスタコーヴィチ・イヤーだった2006年も終わりに近づき、あと2週間ほどを残すところとなりました。今年もCDと本へと金を注げるだけ注ぎ、音ゲル係数/本ゲル係数をあわせると50ポイントを超えてしまうのではないか、という異常な数値をたたき出しています(たぶん)。CDに限定するなら100枚行くか行かないかでしょうか。自分でも何を買ったのか覚えていないのですが、思い出しながら今年の新譜で印象に残ったものを3枚選んでみようと思います。まず、一枚目。

Rather Ripped
Rather Ripped
posted with amazlet on 06.12.12
Sonic Youth
Geffen (2006/06/13)
売り上げランキング: 42304

 (アマゾンのデータによれば)6月に発売されたソニック・ユースの16枚目のアルバム。今年の夏は、彼らの姿を見たくて苗場まで行きました。20年以上続いているバンドだけれど、とにかくこのアルバムの「音の若さ」には爽快な突き抜けるところがあって、とても嬉しかったです。もうキム・ゴードンのよくわからないステージ・アクションとか伝統芸能の域に達していると思う。同じ時期に出ていたにせんねんもんだいの『ろくおん』と共に愛聴していた気がします。ヨラテンゴの『アイ・アム・ノット・アフレイド・オブ・ユー・アンド・アイ・ウィル・ビート・ユア・アス』も良かったなぁ。

 二枚目はブルース・スプリングスティーンピート・シーガー絡みの楽曲を歌ったカヴァー集。長いキャリアのミュージシャンですが、これが初のカヴァー・アルバムだったそう。ギター一本でボスが歌いこむところも良いのだけれど、アイリッシュ・トラッドっぽいアレンジが加えられたところがアメリカっぽくて好きです。抽象的な「アメリカ」っていう国の概念を、根元の部分から構築しなおすみたいな。チャールズ・アイヴズやアルバート・アイラーの音楽に通ずるところがある気がする(響いている音楽は全く違うけれど)。

 三枚目はショーン・レノンのセカンド・アルバム。このエントリで紹介したアルバムにはとくに順位を付けるつもりはないのだけれど、このアルバムはもう出た瞬間から「きっと今年一番の名盤になるだろう」と思ってしました。それぐらいに好き。「あえて今年のナンバーワンに挙げさせてください」という感じです。ジョン・レノンの息子ということで、ビートルズ・ファンとしては声が既に反則の域に達しているんですが、曲がとにかく良くて。久しぶりにガッツリと真正面からぶつかってくるシンガー・ソングライターの曲を聴けたというのが嬉しくて仕方がなかったです(前作と比べると驚くほどきっちりと曲をまとめてある)。こういうアルバムが普通に売れていないと悲しくなりますよ、ほんとに。