中原昌也は消える魔球を放る
大爆笑。(今日における意味の)オタク文化・萌え文化とは無縁の二人、高橋ヨシキと中原昌也が「その道の人」に疑問をぶつけるという鼎談本。「カワイイ」と「萌え」に取り込まれている社会状況への疑念が、厚顔無恥なオタクに対する怒り(っていうか『アイツら見ていて気持ち悪いんだよ!』っていう嫌悪感)が語られています。中原昌也の返しが面白すぎて息がつけない……。
本は二部に分かれていて、前半は海猫沢めろん、後半は更科修一郎を向かえて鼎談が行われているんだけど、特に前半が面白かった。途中から非オタクの二人と海猫沢の間でほとんどコミュニケーションが成立しておらず、オタクが徹底した理解不能な異人として扱われていて、言葉の分からない外人に日本語で罵詈雑言を浴びせかけるような内容が痛快です。「みんな片目になればいいんだよ。そしたら遠近感がなくなってみんな二次元になるじゃん」、「もっと黒人を受け入れろよ!差別しているのはおまえらだよ!!」などと好き勝手いい放題・発言にまったく責任を持たない傍若無人ぶりを発揮する中原昌也が好きすぎて股間の繁みがじっとりと濡れそうになりました。
「こんな酷いこと言えるような人、いなかったよなー」と中原昌也について思うのですが、なんかみうらじゅんの無責任発言にも似ているよなぁとも思います。ただみうらじゅんの投げる球は弛緩しきったスローボールなのに対して中原昌也は剛速球。かつ全てデッドボールみたいな酷さがある。それはもしかしたら見えない魔球なのかもしれないけど、もしかしたら投げてすらいないのかもしれない……よくわからないけどそんな風に感じます。面白ければ、良いや。