歴史的な断絶と認識について
http://www.asahi.com/international/update/0815/017.html
ポーランド南部のクラクフで、旧東ドイツの国民車「トラバント」に乗って共産主義時代を体験するツアーが人気だ。古都の歴史的な街並みだけでは満足しない西欧からの観光客を中心に予約が殺到、数週間待ちの状況になっている。(中略)この車でクラクフ近郊のノバフタへ。スターリンの共産主義「理想都市」を目指し、ポーランドが49年から建設した製鉄の町だ。団地内に借りた部屋は、当時の電気製品などを集めて一般家庭の生活を再現。共産主義時代の雰囲気の残るレストランで、典型的な労働者を演じる人と一緒に食事やウオツカを楽しむ。グループ向けには、滞在中のホテルを秘密警察姿で急襲、一部の人を“逮捕、連行”するドッキリ企画もある。ツアーに参加したカナダ人のアレックス・ケネディさん(36)夫婦は「トラバントに乗ったのが一番楽しかった。共産主義を初めて体験でき、ポーランドの現代史を肌で感じることができた」と満足そうだった。
共産主義から資本主義へとポーランドが乗り換えた際に「歴史的断絶」みたいな意識って無かったのだろうか、と思う。体制が変わったっつーことは名目上「住んでる国が変わったこと」になるだろうし、それによって「理想都市」と謳われた街が「製鉄所の煙に汚染された街」になんてうたい文句がガラリと変わっちゃったりなんかしてさ。私は「過去の体制=『失敗。間違い』だと思われてるんじゃないか」なんて風に思いがちで、ポーランドの過去に対する「寛容さ」がとても不思議に思えた。日本だったらありえないですよね。例えば「戦中の焼けやすい長屋暮らしを再現した食堂でカストリ焼酎飲みながら食事して、団体客向けには官憲姿の人に『逮捕・連行・尋問』されるドッキリ企画があるツアー」とか。それで「軍国主義を初めて体験でき、日本の現代史を肌で感じることができた」とか言ってもらえるわけないもん。すっごい怒られそうだし。