sekibang 1.0

2012年1月3日まで利用していたはてなダイアリーの過去記事です。

民主主義的《春の祭典》

 DCPRG@渋谷O-EASTを観ました。


 フロアは「死ぬまで踊り続けろ!」的な状態で、実際死にました。《春の祭典》です。ストラヴィンスキーバレエ音楽においては、ダンサーが死ぬのはステージにおいてであり、しかも選ばれたダンサーしか死ぬことができません。それは非常にファシスト的であります。我々はそのエリート主義によってコンサートホールの柔らかいシートに懐柔されるかのように拘束され、変拍子によって踊ることが禁じられておりますが、DCPRGの場合ですと死ぬダンサーなのは我々であり、しかも生き死にさえも我々の自由なのであります。素晴らしき、民主主義ではありませんか。私は普段は拘束される側の人間なのでフロントアクトを含めて4時間強のライヴはキツかったっすよ。踊りながら眠ってしまい、朧気な視界の中で前に立っていた女性が「スツール」に見えてしまい、体をダイヴさせたりと酷いです。クラヴ系のヤツらは体力ありすぎ。


 フロントアクトの万波麻希さんも良かったです。ラッパの人の使用楽器が赤メッキ。ミュートにエフェクター。めちゃくちゃマイルス・デイヴィス・トリビュートじゃないか…。そんなものを見せられて、興奮しないわけがない。80年代マイルスが健康的で、しかも楽器が少し上手くなって、チック・コリアリターン・トゥ・フォーエヴァーにゲスト参加した!と言ってしまうと褒めすぎも良いところですけれど、私は好きなバンド。UKクラヴ・ジャズ的な女性ヴォーカリストチック・コリアもかねつつ…みたいな。


 DCPRGの新曲は、もうなんかトーンクラスターを脱却した時期のリゲティ状態。リズムいくつあるだろう…と数えていたら頭が狂いそうになったので、ビールをガブリと飲んで忘れました。アンコールはじまったら隣のカップルがハグしはじめて、なんか良かったよ。そういうの。爆音でフロアで愛とか恋情を確認しあって「おい、お前ら最高に今幸せだな!」と声をかけたくなりました。


 終わりです。最後にちょっと前半ビール飲むペースが速すぎて、ヨレヨレだったんですけど、その時たくさん足を踏んでしまった男性。ごめんなさい。